Posted on 07/20/2025 at 20:10, by matsumoto
男の子がなかったからといって、なぜ私たちの父の名がその氏族の間から削られるのでしょうか。私たちにも、父の兄弟たちの間で所有地を与えてください。」(民数記27章4節)
◆はじめに…各国の男女間の格差を測るために、世界経済フォーラム(WEF)がジェンダーギャップ(男女格差)指数という指標を、毎年発表しています。経済参加や機会、教育、健康、政治などの4つの分野における男女の平等度を評価したものです。ちなみに日本のジェンダーギャップ指数は、2024年の報告では、146カ国中118位となっています。依然として世界の中で日本の男女格差は極めて大きいことを数字が証明しています。
◆格差社会の中で…旧新約聖書の時代も父権制社会、男性中心主義の格差社会で、女性の置かれた社会的地位は極めて低かったと言わざるを得ません。しかし、そんな困難な状況にあっても屈することなく、したたかに、賢く生き抜き、社会の伝統や慣習を変えて来た女性たちの生き様を聖書は証ししています。
◆ツェロフハデの娘たち…今日の聖書のテキストは、トーラー(律法)の父から息子への相続の規定の改定をもたらしたツェロフハデの五人の娘たちの記事です。ツェロフハデは荒野で死に、相続権のある息子がありませんでした。当然、従来の律法には娘への相続の規定はありませんから、五人の娘たちが相続するものはありません。それが当時の現実であり常識でした。しかしそれはどうなの? おかしくない? と五人の娘たちは指導者と公衆の前で、「自分たちにも相続する権利があって然るべきです、所有地をください」と訴えたのです。
◆律法改定…その娘たちの要求をモーセは主の前に持っていくと主は「娘たちの言い分は正しい(…)相続地を渡せ」(民数記27章7節)とモーセに告げられました。60万分の5の、ほんの小さな女性たちの声が、主のみこころを動かし、律法改定を引き出したのです。主は、圧倒的な数の中に埋没してしまうような声に耳を傾けてくださる方です。
◆不正な裁判官とやもめのたとえ…イエス様も、不正な裁判官とやもめのたとえ話で、ひっきりなしに「裁判をして自分を救って」と訴えるやもめに根負けして裁判をするように心を動かされた裁判官のように、主は、夜となく昼となく求める者を放っておかれることはない方(ルカ18章1-8節参照)とおっしゃいました。誰にも相手にされないような者の切実な声を、主は必ず聞いてくださいます。
◆結び…今なお、私たちが生きている世界は、差別と偏見に満ちています。だからと言って諦めてしまうことはありません。生きづらさを率直に祈り、訴えるその声を、確かにイエス様は聞いてくださって、生きる道を啓いてくださいます。
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